犯罪者の氣持(短編第196期投稿版)

0:57 犯罪者の氣持、なんて一括りにはしたくない。その人らはたまたま犯罪者になつただけで――下品な惡意から、人を突落して來た連中なんて、このサイトにはいくらでもゐるでしよ。ただ犯罪になつてゐないだけで。私は――ある時犯罪者と話した事がある。


0:59 俺には性慾が無いからね、何したつて無駄なんだぢやあ、どうして强姦したの?その女がむかついたから。できなかつたら、毆るなり何なりしてた。それから、こはくないのと言はれた。


1:04 私たちはカラオケにゐた。こんな話、人がゐるところぢやできないから。すごく、近い。數センチの間しかなかつた。誘つてゐるの。私は赤面した。體に震へが走つた。何でこんなに近いの


1:09 だつて、こはがつてるつて、相手に思はせたくないから。私は言つた。彼が、じろじろと私の顏を見た。私は……確かに男が好きだけど、勿論强姦されたいわけぢやないよぢやあ、俺が誘つたら


1:10 私は、彼とホテルにゐるところを思ひ浮べ、それから好きな人を思ひ浮べた。しないよふうん、他の日はあたしは、普通のセックスはしない人間だから普通のセックスつて。彼が笑つた。いれるセックス


1:11 煙草の臭ひのせゐで、頭が痛くて仕方が無かつた。煙草、やめてくれる?。私は立つた。どこ行くのトイレ。廊下の空氣は、ひんやりして、新鮮に思へた。


1:13 トイレから歸つて來ると、テーブルの上に、くしやくしやの千圓札が置かれてゐた。どうしたの、これ俺、歸るよどうして


1:13 今日は、ありがと。樂しかつたよ。彼とはそれきりだつた。犯罪者になつた人との會話は、呆氣無かつた。


2:10 皆セックスの事ばかり考へてるのね。彼がセックスできないから歸つたと思つてるのね。分つてるくせに。普遍性。


2:11 ほら、犯罪者と話した女の言葉ここに散る、犯罪心理分析者の皆樣、御苦勞樣です。ああ、犯罪者ども。


2:11 誰かが私を、犯罪者と呼んだ。


2:11 犯罪者は言つた。おやすみ