野崎の娘後書

  1. 父親かも知れない男と寢る話
  2. 私にしては珍しく、家族がテーマ。久々に泣きながら書いた作品。だらだらと引延ばしてゐるうちに、一箇月も經つてしまつた。
  3. 裏切り、かも知れないといふのは、私は母親の態度を言つたつもりだつたんだけれども、よくよく考へれば、石原は裏切りに裏切りで應へたのだ、と思つた、結局彼はやり遂げ(られ)なかつたけれども。かういふ應酬(文字通り)は現實でも珍しくはないと思ふ。それですつきり、といふ事は稀だらうけれどね。傷附いたからさう返したのであつて、自分も同じ事をしたからと言つて、傷が無いものになるわけではない。そこが複雜であり――しかし、單なる應酬で濟まされないものだからこそ、この精神は、この心といふものは素晴しいのだと思ふ。でなければ本當に損得といふものになつてしまふし、治療すれば良い、といふ事になるだらう、物を直すやうに。
  4. 女を捨てた男といふのは女の視點だからね、石原からすれば男を捨てた女の話だから。そこが贔屓といふか固定槪念といふか、主觀といふか。キャラクターとしても、一人稱の讀物としても、引き摺り易いところだ。讀み手の性や價値觀によつて受止め方は(かなり)違ふと思ふ。
  5. 私の日常日常わたしと短くしてしまふ荒業。
  6. 彼から貞操を二度も奪つた、と入れたかつたが、隙間を見失つた。最後の一行は非常に氣に入つてゐる締めだが、もうちよつと餘韻が欲しかつたな、といふのはある。
  7. 言はば、現實の二次創作だからね、現代ものつて書き易い。
    1. 本當はファンタジー調の架空世界ものも書いてゐるし好きなんだよ、公開してゐないだけで。――と思つたけれど、やつぱり現代ものが多い? 架空世界だと飛躍した場面が仕込める分、說明をしなければならないから、それはそれで面倒なんだなあ(それが樂しい、といふ人が向いてゐるんだらう。私はいかに想像させるか、とばかり氣にしてゐる。檢證が伴はない――不可能な爲に、矛盾が發生し易いし)。掌篇(スケッチやクロッキーのやうに、ささつと描寫する)だつたら現代ものが書き易いでせう。
  8. 最近は附錄を作つたり、身邊について考へてみたり、小說とは全く關係無い事ばかりしてゐる。しかし一方で、書いて公開するだけでは駄目だといふか、限界といふか、その先に行きたいと思つてゐる。
  9. 上手くなりたいなら批評が、つまり第三者の讀書が必要で、私は殼を破る必要性を强く感じた。それで生計を立てるにしても、ただの强がりではならないのだといふ事は明白である。
  10. 遅いインターネット計劃を知つた事もある。政治的な細々とした話はともかく、速度を落すといふ事は昔から賢人たちが言つてゐて、主張としては今更な感じはあるものの、かうして具體的なプロジェクト、行動指針、創作として表現してくれた事は非常に有難いと思つてゐる。昨今のインターネットがをかしいと言ふのはもう、殆どの人が感じてゐるわけで、でも投棄する事が出來ない爲に、適應しなければと自分や他者に鞭打つて來た人が多いと思ふ。私がかうして自分のドメインを取つて創作してゐるのは完全にプラットフォーム(自分の物語)としての活動なんだけれども、でもこの態度の在り方自體、思想的・政治的立場の表明だと考へてゐる。私は既存のプラットフォーム(コンテンツを公開する土臺)が大嫌ひで、だからこの場しかない、といふのが本音だ。noteにしてもはてなにしても、投稿內容は自由としながらも、既にが浮彫りになりつつあり、皆がそれに感染してゐるといふのは、本當に氣持惡くて仕方が無い。何より、自意識過剩に陷つてゐるのが丸分りで――數値といふ、言はば監視システムが明瞭な下で平靜でゐられる人間が、幾らもゐようかと。だから好きとか嫌ひとか一言言ふにも自信が無く、翌日にごめんなさいと言ふ羽目になる。馬鹿々々しいと言つたら無い。孤獨が足りない。昔だつたら孤獨(の熟練者)になり得る人たちが、今はごめんなさいごめんなさいと書續けてゐる。一番厭つてゐる人間に媚びてゐる。何なんだらうと。侮り過ぎてゐる、人の眼といふものを。このWebの現狀を。自分が影響に曝されてゐる事に、餘りにも無自覺なのだ。
    1. 2020年5月12日:
      1. 皆が同じ物しか書か(け)ないといふ危險性も又感じてゐる。畫一的な思想、設計、遊び。獨創を封じる物。
      2. 小說の投稿サイトもさうだし、アフィリエイト・弘吿收入目當のブログなんかもさう。本當に好きな事なのか? つて。まあ好きな事でなければならない、といふわけではないが、個人の重要問題(關心)こそが創作のミソであつて、自然と探求も深まるし、書くのに困るなんて事は無いと思ふのだが。それとも關心事が無いとか。關心事そのものがプライバシーとかね。自分を表現する事が恐いとか、好きな事を稼ぐ手段にするのに呵責がある人もゐるだらう。
      1. 2020年5月10日時點では本(遅いインターネット)は讀んでゐないし、これも又よく考へずよく讀まず書いた文章だ(この後書が既に)。私の長い傾向はただ思ひ附いた事をぽんぽん書足してゐるだけで、論考の纏りとは言へない。一文で思考が收束するTwitterと變り無いかも知れない。讀む事はすつかり無くなつたし、背景を檢證したり考へたりなんてもつての外だ。その仕方を知らないし、私はそれ自體厭つてゐる。物を發信する人間としては失格か知れない。が、氣になるテーマは幾らもあるので、きちんと檢證・考證する力さへ附けば、それなりに良い物が書けるのでないかと思つてゐる。
      2. 小說にも背景が必要だ(といふか筆者の否應に無く表れてゐる)が、私にはそれを意圖的に書く技倆は無いし、讀む技倆も無い。
      3. きちんと情報收集くらゐは出來るやうになりたいな、といふ事でこれから勉强。昔ながらので、笑。
      4. 宇野常寛のPLANETS Schoolは面白さうなんだけど、受講・動畫の閲覽にはFacebookの登錄が必要なやうなんだよな。確かめようにも金額拂つて、CAMPFIREに登錄するつて、すんぎよい面倒なんだけど。言つてみればそれだけではあるんだけどね。普段使はないサービスに同意するのは恐いんだよ。心理的にも邪魔だし。
        1. PLANETS School本講座を2020年1月6日からスタートします! - CAMPFIRE (キャンプファイヤー)
        2. 入会後、専用Facebookグループへご招待しますので、その中から受講したい月のイベントページをご覧ください。
      5. なので自習。
      6. 讀む事が最早苦痛な時はどうすれば良いのですか、と聞きたい。
      7. 思へば文章術系の本は買つてゐたのに、情報整理とか取材の仕方とかの本は全然買つてゐなかつたな。當時は下らないと思つてゐた。知れたテクニックばかり語つてゐて、手段が目的と化してゐるかのやうな著者や書籍があつたから――しかしながら大事なところではある。私は素人だ。何も知らない。
  11. 先の話の續きになるが、メディアとは他人の物語で、つまりそれ自體がコミュニケートなのだと。私はコミュニティには入らないが――上手くなるとは巧妙に、的確に傳逹する事、コミュニケーションで、だから、批評――第三者との交流――が必須なのだ、と思つた。
  12. 匿名・實名に關しても思ふところはあつた。確かに、確かに半匿名の文化が育んだものはあつた、それは認める。しかし現狀として、數秒每に不快にさせられるそれは、半匿名である事の負に歸してゐる。無責任な――無責任な――自分を暴く事への恐れでいつぱいのそれが――。そんな文章は文章でない、我々は自分を暴く爲に書いてゐるのではなかつたか、そこに創作の眞の價値があるのではなかつたか。こんな遣ひ方をしてただで濟む筈が無い――蔓延したのは自分を信じられない奇病と、他者を吿發する疫病である。
  13. 私は憤つた。だから實名を公開する事にした――と言つても、これも半實名といふところだ。肝腎の所在は無し! ――實名を曝しても、どこの誰か判らなければ、匿名と同じである、といふ意見もあり、愕然とした。當然である。個人を特定する爲の實名なのだ。それが用を成さなければ、何の意味も無いではないか! ――
  14. Whoisに關して:考へてみれば今までプライバシーの爲と言ひながら他人の住所を使つてゐたのだ――つまり、虛僞を申吿してゐた。プライバシーの爲に隱したいと言ふなら、はつきりとさう書けば良いではないか。誠實とはさういふ事だ。何とかプライバシーサービスだの、それはICANNが認可するものなのか? 認可するとして、それではWhoisは成立たないではないか――REDACTED FOR PRIVACY――ICANNは認めてしまつたのだつた。といふか、もうずつと以前から、Whoisは腐つてゐた。今こそWhoisの意義を問ひ直す時だ、プライバシーの爲に公開出來ないと言ふなら――? ぶつ壞れでしかない、Whoisの情報から惡質行爲を行ふ者、そして自らのドメインから惡質行爲を行ふ者――このいづれもを排除する良策を、私は知り得ない。
    1. ではISBNのデータベースはどうなのか。さう、料金を徵收する他に、登錄者の住所に資料を送り附けてやれば良いのだ。それだと紙が無駄になるから、(配逹員から渡された)タッチパッドで直筆による電子署名を。無論本人ではない人間が對應する事もあらうが、これでぐつと僞の住所は減るんぢやあるまいか?
    2. (登錄者情報を伏せてゐるといふ理由で)ドメインが取上げられたなら、その時は素直に情報を登錄するだらう。
    3. このドメインでして來た事は、私のほまれそのものだから。
  15. BOOTHやnoteを檢討するのに、私がいかに不快になつて來たか! 自分の正體を氣取られないかといふ、たつたその事の爲に! もう居心地が惡くて仕方無かつたのだ、まるで惡事がばれやしないかと心配する罪人のやうに! その恐れと、まさに隱すといふ事それ自體が私の心を壓迫した! 何が惡いと言ふのでない、强ひて言ふなら明確な道理も無く誹謗中傷する輩、あるいは他者からの評價を氣にする、私自身の弱々しい心である。前者には遭つた事は無いが、寧ろその爲に私の心は搖らぐのだつた! 身分を曝したら最後、私は處刑されるのだと!
  16. ああ――灼けるやうな思ひ。私は臆病者である! 半端者である!
  17. 情けない限りではあるが、私はやる事はやつたつもりだ。不誠實さを少しでも排除したつもりだ――日記にはかう書いた、多分今年は、居心地の惡さを排除する年になると思ふと。さうすれば良い。その爲に私は盡力する。
  18. 身分を曝したら最後、私は處刑されるのだと!――そんなメディアがあるとするならば、つひえてしまへば良い。運用してゐる私たちが怪物にも拘らず。まさに痲藥的な、何か。惡魔の側、混沌の墓とは、ここにあるのではないか。
  19. 人間不信。(總ての匿名の魂)
  20. 特定商取引法(の表示)も同じ。販賣業者になつた時點で名前も住所も公にすべきもので、最早個人情報ではない。BOOTHもnoteもガイドラインを見て販賣業者か判斷してねつて、自明な事に知らん顏するのは全然不誠實だと思ふよ私は。インターネット・オークションにおける、つて、これが當てに出來るとでも思つてゐるんだらうか? その上殆どが営利の意思をもって、反復継続して取引を行う爲に販賣してるんでしよが。
    1. 通信販売|特定商取引法ガイド
    2. インターネット・オークションにおける「販売業者」に係るガイドライン
    3. 通信販売広告Q&A|特定商取引法ガイド
    4. 特定商取引法に基づいて、自分の連絡先や住所などを記載しなければなりませんか? – BOOTHヘルプセンター|よくある質問
  21. 特定されたくない氣持は解らんでもないが、ぢやどうやつてまともな取引が出來るか判斷するのか、と。販賣者の所在つてのは、取引する上での一つの擔保なんだよ。買ふ側からしたら個人か業者かなんて關係無いし、無名の販賣者が一切(!)の情報を伏せてゐたら、私は買はないね。あくまでBOOTHやnoteつていふブランドの傘下だから買はれてゐるに過ぎないよ。確かにAmazonのマーケットプレイスなんかは販賣者が所在を明かしてゐても平氣で詐欺紛ひの商賣を行つてゐたりするが――だからつて明かしても明かさなくても同じなんて事は無い。
  22. スパマーや中傷者が盛つてゐる今にあつて、どう自分と顧客を守つていくか。もう個人事業主の枠にかう、事業主を識別出來る管理番號を設けて、それを住所の代りに表示するとか何とか、それが妥當なんぢやないか?
    1. 個人が通販する爲の法律の不備、ではなく、單に匿名による攻擊が簡單に行へてしまふといふ事に問題があると思ふ。要するに、販賣業者が恐れてゐるのつて、さういふ事でせう? 實名や住所を隱すのは、それが理由でせう? でなければ稅金をごまかす爲とか、職場での評價が氣になるとか。
    2. 伏せても構はないが、法的に訴へる手段が無ければフェアではない。サービスを經由して販賣するなら、そのサービス、例へばBOOTHなりnoteなりが根つこを摑んでゐる必要がある。メールアドレスもアカウントも全部消してばつくれる、そんな事が出來ないやうになつてゐなければ駄目。
    3. 例へば、役場の人間や警察官や敎師がBLの漫畫を描いたり讀んだりする事は異常相應しくない事と考へられてゐるが、さういつた個人としての自由を大らかに認める事が、行き過ぎた偏見や中傷を減じるのではないか。何でもない事を取沙汰しても面白くはないし、あるいはさういつた噂好き・中傷者は脚色するのが得意なもんで、攻擊されたとして無視するのが一番の特效藥になる事もある。最早注目といふ快感が得られなければ、彼らは興味を無くすだらうから。
    4. 日本は漫畫やアニメ、サブカルチャーのパイオニア、的な事が言はれてるけど、全然誇りにも思つてないし偏見を持つてゐる人は澤山ゐるから。大體サブカルチャーつて何なんだよつて話で、さう定義されてゐる時點で見下しだよね、つていふ。サブカルチャー:社会の正統的、伝統的な文化に対し、その社会に属するある特定の集団だけがもつ独特の文化。大衆文化・若者文化など。下位文化。サブカル。(出典:subculture(サブカルチャー)の意味 - goo国語辞書
      1. アニメつていふと、アンパンマンデスノートくらゐかな。他にも良い作品はあつた氣がするが、忘れた。デスノートは漫畫・アニメが糞だと思つてゐる人にも自信をもつて奬められる作品。超常現象に對する現實的對處、正義の爲の殺人(私刑)など、退屈で滑稽なテーマを、ここまで面白く描いた作品も無い。娛樂としても文學としても樂しめる作品。といふか、純粹に面白いから續きを樂しみにしてしまふんだよ。後はカイジとか。福本作品は人の心情を描寫するのが上手いし、何より言葉運びの美しさ(癖)があつて好きだ。語呂が良い上に、的確に對象を打拔いてゐる。よくもこんなゲームの數々を思ひ附くなあ、とも。畫風は獨特だが、一見の價値はあり。人間競馬といふとち狂つた所業の中で、カイジが前の人間をせずに淚するシーンは、すごくわかる。暴力を振るはなければならないといふ暴力、恐怖。カイジの性根も判るし、描いてゐる福本先生の性根も、判る。
  23. 買ひ手の氣持に寄添ふ、つまり自分だつたら買ふかどうか、何を氣にしてゐるか、といふ事である。又、買ひ手の感覺からすると作者から買つてゐるのではなくBOOTHから買つてゐるといふ感覺だし、賣り手は私が賣つてゐるのではなく、BOOTHが賣つてゐるといふ感覺なのだから、責任感や賣買そのものの技倆に成長が無いのは當然な氣もする(手間やノウハウを省くといふのがサービスの趣旨だけれど)。
  24. 現狀として、(事業者について)問合せが來たら答へねばならないし、答へたくないとしたなら、自分が販賣業者でない事を證明せねばならない。と言つても販賣業者であるかは客観的に判断して、なので、自分では證明したつもりでも業者と見做される事は充分に有り得る。
  25. 不滿があるなら買はなきや良いぢやんは答へにならない。販賣の條件として情報の開示があるわけだから。
  26. 自分の所在が明かせないなら、販賣はすべきではない
    1. 2020年5月12日:
      1. プライバシーとの兩立が最良? しかしながら所在が無いと胡散臭い(=信用出來ない)のは事實。現狀、法律をごまかしてゐる事實には腹が立つものの、BOOTHやnoteが販賣業者の根つこを摑んでゐるのも事實か?
      2. 實際のところ、商業作家は出版社を盾にしてゐるし。私もKDPを盾にしてゐる。
      3. では何の後ろ盾も無い個人が(所在を伏せたまま)販賣するにはどうしたら良いか――(後で明かすと言ふのは)口約束でしかないな。後述したやうに、讀者・購入者が責任を追及し易いやうにしておくのが良いかと。取決めやポリシーは大事。
      4. 公の場で取引するつて、プライバシーなのか?
      5. 取引してゐる事と、(取引の場以外で)業者である事を吿げる自由と、取引してゐる者の所在を明かす事とは別ではあるけれど。身分の保證が無い。であればこそ資格、受賞歷、知名度の高い顧客との取引、收入等を擔保にするわけだ。
      6. となると、益々實績の無い販賣業者は不利なわけだ。
      7. 例へば、同人作家としちや出展したイベントなんかを擧げても良いんぢやないかな。少なくとも出展出來るだけの實體は示せる。無論Webカタログ等、明確なソースが引つ張れる事が必須だけれど。
      8. 個人だからといふ理由で逃げたくはない。恐らくは、コミュニティを形成するのが一番良いのだらう。(それが今日の出版社や出版サービスだらうか)
      9. 過剩に身を守る事を考へてゐると、本當に不快なんだよ。何も信用してないつて事だから。疑ひは疲れる。弱い自分に苛々する。
  27. ああ、後、半匿名の氣持惡いのは、(特にアーティストに)妖精さんになりたい人たちを生み出した事だ。つまりこの世の中にあつて、ふはふはとした、摑み所の無い、御伽の國にでも住んでゐるかのやうな幻想を抱かせる人、又そのブランディングである。戶籍を持ち、スーパーで買物をし、うんこをして、稅金を拂つてゐるといふ、この事實を否定するかのやうな振舞ひである。別に惡い事は無いが、生理的に受附けなかつた。相手も人間であるといふ感覺が薄らいでしまふと、どこかで傷附いたり驚愕する羽目になる――たつたこれだけ。綺麗な聲で詠つてみせても、實際には收入を受取る爲の口座があつて、彼らに與へるのはだからね。變り無い。
  28. 私たちは實在する何か。戶籍や經歷を意味の無い事にしたい人もゐるけれど、實際それに賴つて――賴らざるを得ない――生きてゐるでしよ、と。さう呼ばれ、さう扱はれ、さう名乘る。影響を受けてゐないわけが無い。多樣な側面を持つ個人を語るに、自らがさうでなくて何を語れるか。
  29. 偏見や差別は無くならない――我々はそれを驅使する事で身を守つて來た、自覺が無ければただの僞善だよ――專らあるのは、自分にとつての誠實さしか無いけれど。智慧や敎養でさうでない風に見せてゐるだけだからね、これは。偏見が無ければ他人の心配なんて出來ないし、他人と自分への態度の差はまさに差別だ。問題が起るのは、常に過多が起る時。恐いから攻擊に轉じるのだ。
  30. 匿名・實名の本質を判つてゐない私が明かしたところでどうにもならないかも知れない、だが私は自分に筋を通したかつたのだ、堂々としてゐたかつたし、今まで書續けて來た事が、決して恥ぢに無い事を確かめたかつた。常に倫理や信條といふ、自分にとつての一定の水準を保ちながら、語り難い事も語つて來たつもりだつた。私は自分に問ひ質したかつた。私は靜謐な人間でも、又上品でも高尙でもなく、誠實でさへない人間なのだ。それを出來るだけ有りの儘に、私に打明けたかつた。世界にも。
    1. 安全な場所から見物するといふ、その態度を自分にも許したくなかつた。公平fairでゐたかつた。
    2. ショウペンハウエルも言つてゐる、匿名で書いたことのない人々に匿名による攻撃を加えるのは明らかな破廉恥行為である。(出典:ショウペンハウエル著、斎藤忍随読書について 他二篇
    3. それは個人にもさうだし、前述の集團に對してもさうなのだ。それは間違ひ無く、實在するの意見だつた。
    4. 危險の無いところ、言はば驕りに近い場所にゐたくなかつた。働くつて命を削るつて事だからね、と私の父神は言つた。であるなら、筆を突立てる私は、命を削らねばならない。それが書くといふ事の誠實さだと感じる。神も天使も、自らを曝け出せと言つてゐる。それこそが、この世界と神に對する奉仕である。
    5. 恐らく、神は危險に瀕してゐる。彼が誠實と言ふならば。
  31. 神よ、照覽あれ! ――まさに、荒れ狂ふ川に飛込むメロスなのだ、私は。

時間が經つ程に、大騷ぎする程の事ではないと思ふやうになつた。公に向つて何か言ふならば(公表し頒布するならば)、名乘つたり身分を明かすのは當然の事ではないか、と。多くの人々はさも當然の事として名乘つてゐる。インターネットといふメディアでは匿名が大流行してゐる、といふだけで。さうだ、私は當然の事(の半分)をしてゐるだけなんだなあ。ほんと、私は何を見て來たんだらうか。

私はプライバシーに何を含め、何が明かされ、何がどうなる事を恐れてゐるのだらうか。――さう、總ては恐れから來るのだ。

下品に見られるのが厭なら下品なコンテンツは改善すべきだし、(誰も問はないとしても)私は私に對して說明責任を負つてゐるのだ。追詰められたくない、といふのは、大抵自信や根據の無い、後ろめたい事をしてゐるからだ。公表するとは、確かに自分の心までも明かしてゐる。公にするだけで、自分の心に後れを取つてゐるかどうかが判る。公にするとは、正直になる事だ。その段階だ。


多くの小說家が憂慮するやうに、私は私の書いた作品が現實と結び附けられ、私自身はともかく、周圍の人々が不快になつたり、第三者に傷附けられたりするのではないかと恐れてゐる――作品の解釋など二の次であり、最早どうしやうも無い事だ。

それでも書きなさい、と先人は言ふ。第三者の判斷などコントロールが利かないものだし、現實が題材となる事は免れないし、そもそも何を參考にしたかなど、書いた本人しか判らないのだから。內なる神に心を開きなさい、と先人は言ふ。私も思ふ。

まだ何も始まつてはゐない。不快を感じる時は、感じる時で良い。いづれはやつて來る。

さういつた意味で、小說とはそれ自體が小さな祕密である。だからリスクを感じるし、書く事や發表する事に樂しみを感じるのだ。


要するに、實名にしろ藝名にしろ、責任を追及出來るやうにしておく事。寧ろ讀者の側に寄添ふ。かうして公開活動をする事で、わざわざ世界に影響を與へてゐるのだから。

有名になる確率が1%でも許せないと言ふなら公で活動するべきではないし、ある意味で、公開活動をするとは、人畜無害の自分を捨てるといふ事だ。自ら種を蒔くのであるから。

補足

プラットフォーム(自分の物語)メディアとは他人の物語
家入一真×宇野常寛 なぜインターネットは〈遅く〉あるべきなのか | 遅いインターネット
メディアは所詮「他人の物語」で、プラットフォームは「自分の物語」。「他人の物語」を読むことより「自分の物語」を生きることのほうが面白いよ。受信するより発信するほうが楽しいに決まってるんだから、メディアは絶対に負けるわけ。
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ちやうど良い文面だつたので、私も伏せる時はかう書いてゐる。
メロス
太宰治 走れメロス
ああ、神々も照覧あれ!

野崎の娘補足・改訂履歷

  1. 公開