五つの大罪後書
- 書きたい事、そして讀みたい事。
- 本当に、読みたいことを書けばいい? | 田中泰延 | ほぼ日刊イトイ新聞
「誰もわたしが面白いと思ったことを書いてないなあ」
というときに、はじめて自分が書けばいいんです。
自分に向けて書けばいい。
- COMITIA139 ティアズマガジン記事 インタビュー - COMITIA
ブタ、ブタ、ブタだらけ。コミティア初参加から3年間ずっとブタのマンガを発表し続けているzakiさんは、ご自身の日々の暮らしを豊かにするために大好きなものを描く、アマチュアリズムの体現者だ。
「自分が本当に描きたいものを考えたら、ブタが大好きだったことを思い出して、これなら一生描けそうだと思いました」。しかもただのブタではなく、五匹組で、みんな同じ顔で、人語は喋らず鳴き声のみという縛りを自らに課して10冊以上も描き続けてきたというから驚きだ。本を目に留めた新たな読者をブタ好きに目覚めさせるほど好評を博している。「商業の編集者さんから声をかけていただくこともあります。でも、人間の話を描きませんか、と言われることが多くて、いつもやんわりとお断りしてます。描きたいと思わないものに時間を取られるのは絶対イヤです」
- もう長い事「書きたい事は無い」「讀みたい物も無い」でループし續けてゐて、色んな作家さんの反應とこれまでの自分を振返つて、「あ、ロボットだ」、と。それもただのロボットぢやなくて、嚴密に言へば機體生命體/情報生命體/人型兵器(人間の皮を被つたタイプではなく、ゴツゴツした鋼鐵のフレーム)/人工知能。前者二つは自律した生物だが、後者は人間に隸屬する被造物・道具。サブロシリーズ(假題)に出て來るCYL/コードは、人工知能。サブロを初めとしてぺらぺら喋る。
- 「ロボットオンリーのゲームやアニメがもつと增えたつて良いだろ!!!!! 俺はメカが見たいんだよ!!!!」
- SFといふジャンル(=無知)にコンプレックスがあつて、あれもこれも書けない、書かなければ、と焦つてゐたのだが、もう見切り發車で良いか、と。書きたいシーンを書いてゐれば良いといふ事にした。確かに技倆は高めたいし勉强もしなければと思ひつつ、待つてゐては何も書けないので。書けないなら書けないなりに足搔くしかない。
- でも一人稱の抒情的な作品も嫌ひではないし、SF(=架空世界)を書續けてゐると日常描寫や人間の表情なんかが書けなくなつてしまふのではないかと思つて、恐い。なら思ひ附くままに書けば良いではないか、といふ事になるが、それもなあ。何か一つのテーマに特化した短篇集を發行してみたく。
- 苦しいけど、何か一つと言はれたらやつぱり小說しかなくて。他の事(隨筆や詩、サイト制作、シェルスクリプトの作成)やつてても樂しいが、心の底のハングリーな氣持は滿たされず。常に逃げてゐる、といふ感覺に追はれる。小說家で在り續けるために書いてゐる、そんな人間。
- 書續けるには、少しでも痛みを和らげるには、「好きな」事・物が一番榮養になる。萬能な作家になる義務は無く、商業《で書いてゐるわけでもない。好きな事ばつかり書いてゐたつて、何物も私を罰しはしない。必要なのは、私自身の許可だけだ。
- 何より、讀みたい物を書けるのは、私しかゐない。理想の出來ではないにしても、0ではない限り理想に近附いた。他、何に時間を遣ふといふのだ?
- 下書直後の後書ではかう書いてゐる:
私はもう好きな事しか書きませんし書けませんよ、でないともう、ほんとに、書く事を憎み苦しんで生きていくしか無い。だつたら下手でも何でも書きたい事書いた方が良い、さう思つた今日この頃でした。改善は後でもできる。
- 作業ディレクトリをgrepしたが、どうやら設定集は破棄してしまつたやうだ。「ろくにSFなんて書けないし、もう二度と書く事はないだらう」そんな感じの考へだつた。
- 初期の設定だとブルーノはサブロの“先輩”だつたやうだ。つまり逆。しかし彼は「先輩」言つてた方が面白いし、モモといふ後輩もをるので。「先輩〜!」つて突つ込んでるだけで話になるからな、サブロ相手だと笑。
- 昔書いたのは堅苦し過ぎたといふか、わざとらし過ぎたんだな。肩の力を入れ過ぎた。サブロが喋らなさ過ぎた、私が緊張してゐたんだなー。コントロールを手放し、どんなキャラクターでも良いやと思つたら何とか書けた。喋つてくれた。ありがたうサブロ!
- 槪要としては現場に臨場して喋つてるだけなんだけど、その「會話」がこのシリーズの眞骨頂といふ氣がする。とにかく喋つてるのが人外といふだけで樂しい。
- 世界觀はおまけ、といふのは言ひ過ぎかな。世界があつて、彼らがどう世界を見てゐるかで、話す言葉も違つて來る。コードには必ず動機があつて、彼らはそれを說明できるので、そこが人間との違ひかも知れない。しかし人間と同じやうに(あるいは人間より過酷に)、目的のためなら僞裝や犧牲も厭はない。どこまで「深入り」できるかは所有者の都合、又彼ら自身の構造(屬性)にもよる。
- 五つの大罪はコードの軸といふかテーマそのもの。彼らのカルチャー。
- コードが信じるジンクスみたいなものがあつたら面白いなと思つて、この話にもちよこつと出てゐる。
- 北風に太陽はあるかに話の矛盾點を見附けたが、今更修正する氣も起きない。といふか、「無かつた事」にすらしさう(ほんとに)。色んな意味でパイロット版。
- 「背景」「狀況」つてどこまで書込むか惱む。最低限のイメージは書かうと思つて書足したが、やはり物理的な「描寫」は苦手だなと思つた。足すとどこかに綻びが出て、結局他の場所も修正する事になつた。
- 「漫畫のノリ」。サブロが喋つてくれるからまだ首の皮一枚で繫がつてゐる。
- 土壇場で改訂。計畫的にやらないと駄目だな。締切は有效。
- 人間の皮を被つてるタイプぢやなくて、鋼鐵のフレームが剝き出しのロボットが好き。人間とわちやわちやして友情したり戀愛したりするのはメダロットやサイボーグクロちゃんを思ひ出す。人外が主人公だから良いんだよね。トランスフォーマーみたいな機械同士の交流が大好物。
- 別にコメディを狙つてるわけぢやないが、サブロのノリに卷込まれるとかうなる。この調子で書いていきたい(遊んでいきたい)。
- 今度こそ定期的に發表するのが目標です。COMITIAにも參加したい。「同人」は散々毛嫌ひしてきたが、創作について考へるに當り、「やつてみたい」といふ衝動を無視できなかつた。
- そして出展するならテーマに特化した方が良い。他の人の作品を見てゐても面白いし、何より判り易い。「かういふものが好きで!」「かういふのを書いてます!」つてはつきり言へると嬉しくなる。
- 私の「好き」をふんだんに。
五つの大罪補足・改訂履歷
- 2024年7月28日:公開