「COMITIA150」出展サークル作品所感

目次

  1. たこねこユニバース
  2. 遭難
  3. スペース設営を改善する技術1
  4. ホビアニ魂シリーズ③ 熱血超弾フンバルケッツァー
  5. 火星のレベッカ
  6. 火星のレベッカ 赤い星の人形たち
  7. 大鉄神 忌火
  8. 機界 キカイ
  9. MIKAMI LEMON RAKUGAKI LOG 1

たこねこユニバース

主人公は月にしかない稀少なキノコ、ツキノコを探すが、一向に成果は得られず、“たこ”のやうな姿をした生命體と遭遇する。

殺すなどといふ言葉が出、殺伐なのに、殺伐としてゐない。何かが缺けてゐる不思議な感じ、と思つたら、さう、生命體が一言も喋らないのだ。「大事な事」は身體と行爲で表現される。私好みの描寫であり、この「語り」が作品の肝。

ツキノコの宇宙にも負けない力つて何だらう。

クマの縫ひ包みや雜誌は主人公の持物なのかな? 雜誌に映つてゐる「人間」は猫耳なし。主人公はそれを見てヘルメットを取る……。「何かが起つた」のは確かだが、勿論、それはこの物語の主題ではない。

最後の一言で私のやましい心はグギッと折れた笑。いや、「戀愛」ものでないところが良いんだよ、本當に。奧附ページが無くそのまま終つてしまふのが良い。

「地球人」の正體、地球の樣子、又生命體の詳細すら分らないが、語られる必要は無く、繰返すが、それが主題ではない。

“たこ”は喋らないが、全身で友愛を示し、それが實に愛くるしい笑。ディストピア感を漂はせつつ、ほつこりする漫畫。

奧附は裏表紙にあるが、聯絡先はSNSのみで、發行日には年が入つてゐない。新刋つて事で良いのか?

遭難

救難信號を受信した太陽系のウミは、救助に行つた惑星で、はくちょう座β星系の“モノ”、“トリ”、亡くなつた“テ”に遭遇する。彼らは母星外の人間とは交流を持たず、3人1組で行動し、それぞれに役割があり、尙且つ、固有名詞を持たず、外見も異なる。そんな謎多き人々とウミは協力して船を修理し、惑星を脫出するのであるが……。

作畫やキャラクターの造形はシンプルだが、SF特有の氣味惡さ、不氣味な感じが終始附き纏ふ。最後は想定できたのに、まんまとやられた笑。

謎の生態、無知から來る疑心暗鬼、飛躍的な技術に對する利害、俗物的な慾望——文化と生態の違ひが、SFが最も語りたがる夢と恐れであり、實に綺麗に纏まつた、短篇映畫のやうな出來。

こんなにシンプル、かはいらしい作畫でここまで語る事ができるんだなと感心した。表紙・サークルカット(“モノ”、“トリ”のイラスト)が一目で人外ものと判るのも良かつた。グレーの表紙がよく似合つてゐる。ほのぼのやギャグだつたらどうしよう、といふ心配を吹飛ばす良作。殺傷描寫も無いので、誰にでも奬められる。

特許をとってゆうゆうFIREというわけだ(18P)——近未來にも“FIRE”つて言葉生きてるんだな〜。アロハシャツでも帽子は脫がないウミ。

彼らの技術はこうして秘密として保たれているわけだ(19P)——上手くできた生態だなあ。

22Pのよかったよかったがすごくかはいい。“ふり”ではあるんだが笑。

コピー本。よく見るとステープラーは一箇所だけ。奧附の聯絡先はURLのみ。

スペース設営を改善する技術1

COMITIA149では何も買ふ事ができなかつた、フォーマルハウトの新刋。

36Pと薄手でちよつとした隙間時間に讀めるのが良い(何なら開會中に「直せ」さうだよね)。何より、クリーム紙が嬉しい笑。

モノクロではあるが、大きい圖が入り、「なぜその配置が良い/惡いのか」が率直に說明されてゐるので、全くの初心者でも解り易い。

「これ取りづらいな」とか「どれから見たら良いんだらう」とか「これいくら?」とか、見本誌が無いと思つて手に取つた册子の橫に見本誌があつたとか、“見落し”は總て私(一般參加者)が惡いのかと言つたらさうぢやない、さうぢやないんだよ!笑 サークルに言つてやりたい事は澤山あるが、逐一言ふわけにもいかないし、總てをメモに取つてゐるわけでもないので、かうして(熟練のサークルが)指摘して、弘めてくれるのはすごく助かる。ある意味で、一般參加者の「心の叫び」笑。設營はサークルの滿足のためでなく、出逢ひを期待してスペースに立寄る、總ての人間のためである。

私としては、(小中サークルはあんまりやらないだらうが)「上下」の配置がすごく苦手で、見る側の身長によつては手が屆かなかつたり、視界にすら入らなかつたりするので、「机より高い/低い」ディスプレイは、ポスター以外はやつて欲しくない。高い配置は、倒れて來さうで恐くもある。

机前面がどこを指してゐるのか判らなかつた。つまり天面(頒布物を載せる)、前面(一般參加者・通路側)、背面(サークル側)ね。

私が文フリに出展してゐた時は、前面に「卽興詩」とでかく書いてゐた。確かに、前面に貼られたポスターは見づらい以前に視界に入らないんだよな。氣附く度に、「なぜ貼つてゐるんだらう」と思つてゐた。

敷布についての指導は無し。

こんなにしつかりした書籍なのに、所々に誤字脫字が。締切ギリギリだつたのか? 目次からしてあとがきまえがきになつてゐる。自動生成ぢやないのか?

よ〜〜し151の設營はこれ參考にしてやるからな〜〜〜笑 ただ、私の場合は今後サークル(出展)活動を繼續するか分らないので、ポスタースタンドや敷布はどうしようかと。借りられれば一番良いんだがなあ。

頒布物のサイズが總て異なる時の配置も知りたかつたな。151では小說(A6)、漫畫(A5)、ペーパー(A4橫)を頒布する豫定で、机の幅はこれでいつぱいになる。ペーパーは折つた方が良いんだらうけれど、一番見せたい面が「A4橫」で描かれてゐるのだ笑。で、メインが小說なので、これは中央に置くべきかな? しかし「空きスペース」は欲しいから、欲張らず小說とペーパーだけにした方が良いのかな。でも漫畫も刷りたいし、ペーパーは新刋が無い時だけにするとか? 迷ふ〜

あと、觸れられてゐないが、スペース番號を揭示して欲しいんだよな。ティアズマガジン150の112PにスペースNo.を掲げてくれてるサークル全員 宝くじとか当たってほしいなどといふ漫畫が揭載されてをり、ふざけんな、と思つた。認識してゐるなら改善しろと。私は、ディスプレイを損なつたとしても、スペース番號の揭示は義務化した方が良いと思つてゐる。それ程にサークルが把握できない。參加してゐるサークルの認識すらできない(妨げてゐる)つて、スペース設營以前の問題では。

ホビアニ魂シリーズ③ 熱血超弾フンバルケッツァー

※禁複製・無断転載と制約があり、私はこのやうな作品は買はないと決めてゐたが、奧附を確認せずに買つてしまつた。感想も書くつもりは無かつたんだが、面白いので、奬めたくて……

ロボットが人間のホビーでバトルをするといふ、狂氣のロボ漫畫。尙、負けたフンバリスト(※プレイヤー)は爆死する。その作風と(下)ネタ、勢ひはコロコロあたりを想起させる。

ツッコミ不在で全力疾走する氣持の良い漫畫であり、作品といふか作者の筆の勢ひごと胸を擊拔かれる感じ笑。確かにこれは爆死するしかない。

考へるな、感じろ。デフォルメロボ好きは默つて手に取れ!

ちなみに③とあるが、このシリーズは讀切なので安心して讀める。次回もバトルホビー漫画を描くと思うのですが人間メインなのかロボしか出ないのかは不明です。との事。是非後者を〜!

何氣に、ノンブルもすごく大膽で好き笑。全體的に元氣が良い!

火星のレベッカ

旅を續ける自律型ロボット「ドール」のレベッカと、火星に生きる人々との出逢ひ。漫畫は、通りすがりのドールに襲はれるある戦い(3〜7P)、“試験体”を運ぶ「風の民」の父娘と遭遇し、火星環境保全機関MECOと交戰する風の声(12〜28P)、無人のロボット機關車を描いた火星鉄道(31〜33P)の3篇を收錄。

YASHIMAさんの作畫は癖が無くて、かう言つちやなんだが“オタクつぽさ”の無い自然體な感じがすごく好き(それでゐて“キャラ”つぽい親しみがある)。氣構へず觀られる。

「短篇」といふよりは、プロローグといつた感觸のお話。最も氣になるのは、レベッカの旅の目的だ。それはまだ語られない。

メカニクス(イラスト)は計6P、より詳細なものは後述の設定集に收錄。

ロイド特別捜査官もさうなんだけど、是非「續き」をYASHIMAさんには描いて欲しい……でなければ私が! といふ事になる笑。あいにくと私は地球外には興味が無いのだが。YASHIMAさんの作品の良いところはやつぱり「アニメ」つぽいところで、色附いた世界で、ロボットが生きてゐるのが良い。

大團圓で終るのかと思つたら……又そのハードな展開が好き。流血、殺傷描寫。意外と明確に戰つて死ぬ、といふ漫畫は買つてをらず、COMITIA150ではこれきりかも。何せSFジャンルではイラスト集が多かつたので(漫畫はあつたが、人間メインが殆ど)。

火星のレベッカ 赤い星の人形たち

火星のレベッカの設定資料集。自律型ロボット「ドール」がメイン。フルカラーで描かれるロボットの造形と解說は、本當のアニメ作品のやう。人型の他、4本腕や4足步行、浮遊型など多樣な用途のドールがゐる。「顏」の無い、6本足のガルーダは漫畫風の声にも登場。

ロイド特別捜査官のTにも感じてたけど、YASHIMAさんは少女スタイルのロボットが好きらしい笑。こんな“人間こども”に見えなくもないロボットを導入して、火星では“事故”が起きなかつたのかね?(子供が誤射されるなど) 見るだけでも氣持惡いと思ふのだが……。

ロボットデザイナーのすごいのは、「仕組」も考へて“造る”事。パーツの形とか、役割とか、可動とか、動力源なんかを考へながらデザインするのはすごく大變な事と思ふ。そして、そこに物語を添加する。どういつた經緯があつて、彼らはそのやうな姿になつたのか? 能力を得たのか? 何をするのか?

「はぐれ」といふのはどうなんだらうな。「自律型」で、自己判斷できるとは言へ、殺傷の例外、つまりは「所有者」が設定されてゐるだらう事は想像できるが、レベッカの場合は……? 私が書く326シリーズのコードにもさういふキャラはゐるが、實はあんまり深く考へてゐなくて(苦笑)、でもそれが囘收や破棄對象なのは「判つて」ゐる。人間を脅かす存在が“管理”できてゐないのは不味いからね。所有者がゐないコードは存在しない——稼働できない仕樣になつてゐる。

火星獨特の文化も見えて良い。「物語がどこかに向かふ」といふよりは、歷史の流れとしての物語(“點”)、なのかな。とすると、「レベッカの旅の目的」を語るのは野暮かも知れない。

後書には「火星のレベッカ」を始めたきっかけは、「マントを羽織ったロボットがさすらう姿」のみでした。そしてひとつのストーリーよりも、もしそんなアニメがあったらどんな設定資料集やムックができるのかなと、ちょっと違った視点で展開してきました。とある。漫畫を描かずイラストで「展開する」人つてこんな感じなのかな? YASHIMAさんの作品がアニメつぽいのつて、かういふところに起源があるのかな、と思つた。「既に成立つてゐる」世界を構築する、描寫する。漫畫はあくまで展開の一つで、この本も、火星のレベッカといふ“企劃”の成果なんだな。

マントを羽織つたロボット……といふと、マイクロン伝説を思ひ出す。デバスターよりメガトロンのイメージ。

大鉄神 忌火

宇宙からやつて來た“大鉄神”が街を燒盡すまで。タイトルを除き、文字情報は一切無く、繪のみで展開される。クリーム紙が嬉しい笑。

何となく昭和つぽさはあるんだけれど、却つてそれが禍々しいやうな、無慈悲な靜けさがある。

冒頭には鐵を打つシーン、降り立つた“大鉄神”を捉へる瞳、灼かれた腕(鐵を打つてゐた人物と同じ?)。

“大鉄神”が人工物、機械あるいは生命なのか、地球に降り立ち炎を吐いたその理由も、何もかもが分らぬままに、續きを仄めかして「物語」は目を閉ぢる。

文字が無いのが見易くて好き。16Pのみ流血描寫

機界 キカイ

岩国工業の新刋。誌名は、奧附では機 界 キカイ

「見開き」で讀む漫畫詩といふか、ストーリーブックといふか。右に文字、左にイラスト。サークルカットによれば白黒挿画集。表紙にはオリジナルメカ白黒画集

やつぱ黑ベタ最高〜〜〜!笑 私もクリーム紙で黑い本が作りたい!

“機械”と共に住まふ人々の呟きと(まさに機界)。畫風はやつぱり昭和つぽいんだけれど、不思議とダサくはなく、おどろおどろしさがある。この燃盛る炎の表現が近寄り難く、痛く、恐い。どのページからも機械の巨大さ、そして人間の矮小さを感じる。

ポートフォリオの鉄神といふページを見る限り、それは鐵巨人の總稱らしい。

プロフィールによれば、2019年から今のタッチで(以前のタッチと共存で)描き始めたらしい。すげえな。有名所とも取引してゐて、個展や出版もできたらうに(既にしてゐるのかも)、敢へて“同人誌”といふ形で制作・發行してゐるんだな。

印刷關係で黑ベタに對する警吿を見て來たので、自作では黑ベタを遠慮してゐたんだが、いや、思ふ存分してしまへとこの本を見て思つた笑。

大鉄神シリーズやこの本は紛ふごとなき白と黑の世界で、そしてどちらかと言へば(白なのに)黑の世界で、似合つてゐる。トーンは一切無く、ペンのみ。

MIKAMI LEMON RAKUGAKI LOG 1

薄いのだが、買つたロボ本の中では一番滿足感があつたかも知れない。最近はキャラクターよりもミリタリー的な雰囲気のメカ、ロボに興味のあるシーズンでした。(3P)の通り、COMITIA149とは異なりメカ・ロボに徹した畫集。

4〜7PはACつぽい機體。滿足々々。かういふ立ち繪とか見る度に、本當に「人」が入つてゐるのかと疑ひたくなつてしまふ。そして“足元”には絶對にゐたくない笑。6Pの藍色の機體は、武器を構へたところも觀たかつたかも(特に背部のキャノンだか劍だか)。

一番好きなのは8Pの機體で、もつと「夜の森」のイラストが觀たかつた。夜×ロボットつて魅力的だから。下半身は映つてないんだけど、何となく4脚を想像した。

10〜11Pにはコアを中心にパーツの交換で步行兵器にも、ドローンにもなるロボットが描かれてゐる。まさにコア構想(AC用語)つて感じ。10Pのイラストはしやがみ込んでるのかな。立上がると5メートルくらゐ? 歩兵随伴つて事だけど大きくない?(用途による) 脚は左右対称らしい。ドローンのデザインも恰好良く、廣げた“腕”は生き物のやう。

パーツや兵裝の詳細も載つてゐて、よりロボ畫集、簡易設定集らしさがある。

パイロットらしき人や步兵もちよこつと。以前と變つてすんなり受け容れられてゐるところを見ると、やはり私は人間が嫌ひらしい(Sirius MIKAMI LEMON ILLUSTRATIONS所感)。