「J.GARDEN56」で入手した作品
この「人外」といふ明確だが(指すところは)曖昧なジャンルを分けるのは、「顏」があるかどうかである。
幸福の行方
- 形態:漫畫
- 發行日:2024年3月10日(初版)
- 發行サークル:サーターアンダ(著:ギー)/スペース配置:い06a
- 機械×人間。ギーさんは短篇の名手。一話一話で世界觀が獨立してをり、多樣な「機械」と人間の關係性が描かれる。コメディもあればシリアスもある。
- 「お氣に入りは?」と聞かれたら、う〜ん、表題の幸福の行方かな〜笑。人間がね、厭がつてるのがね、良いんだよ笑。變つた考へ方、一方的に迫り、その中で妥協點を見出して共同作業、といふのが良いのだ……單純に笑へて面白いしね
- 文句無しでサーターアンダ、著者ギーさんはお奬めできる! 萌え(燃え)!
- 性描寫はそこまで露骨でなく上品な部類かと。但し、肉體關係がある事は明確に言及される。表題作幸福の行方に關してはエロがある、笑。
- 一条の光を見てゐると、ここまで人間に「似せる」必要があるのかなあと思つてしまふ。アサカは同じ「人間」でゐて欲しかつたんだよね。でも、トヨルは
俺は自分たちのためだけに作られた娯楽が欲しくなっちまったんだよ
。つまり、個の確立、人間への叛亂である。これが後々の戰爭に續く豫兆とかだつたら胸熱。模倣と進化の必要性について、俺たちに求められたのが「人間の労働」の代替だからさ
とは言つてるけど、要するに「存在」の代替だよね。完璧に模倣できたとすると、人間とヒューマノイドの區別はどこから附いて來るのか。
- 「勞働者」つてのは分るんだけど、その過程で性行爲及び性器が附屬するのがよく分らん。“調整役”として人間を欲するのもまあ、これも分りはするんだけれど、本當に機械はセックスを求めるんだらうか? それも「模倣」の範疇といふ事か。文化はともかく、思想、宗敎まで模倣しちやつたらそれはもう人間だよね。一条の光のヒューマノイドつて一番人間に近い地位にゐるんぢやないかな? トヨルも難無く仕事「辭め」てるみたいだし……(機密漏洩防止措置は受けてゐるんだらうけれど)。このお話は切なく綺麗に終るので、ハードボイルドが好きな人にお奬め。
- 「オチ」と「餘韻」があるといふ點で、本當に短篇らしい短篇。漫畫でもかういふの描けるんだ、つて初めて知つた。
- 性的關係は言及されるが、明確にどうと描寫されないのが良心の一つであり上手い作り込みと感じる。
- 表紙はマットPP加工。
- ノンブル無し。40P。
- 制約:
「幸福の行方」の無断転載、転写、ネットへのアップロード、オークション出品を禁じます。
PERSONAL_LOG_OF_E=2517077
- 形態:漫畫
- 發行日:2024年9月23日(第四版)(初版は2016年10月23日)
- 發行サークル:イ類融合産業(著:GYARO)/スペース配置:あ08a
- 人外(護送對象の異星人)×人間(兵士)。BOOTHの說明には
略奪婚
とあり、デジタル大辞泉を引いてみると結婚の相手としての女性を他部族から略奪してくる結婚形態。原始社会や未開民族で行われた。
あ、確かにこれ略奪婚だわ、と。短い話なんだが、萌えがいつぱい詰つてゐる。あの・・ い−31さん
あなたのおなまえをきいてよいですか?
私はなまえであなたをよびたいです
私のなまえは
に對しての適當なあしらひでハイ!
と答へてしまふあたりに、彼の純眞さとをかしみを感じる。溫度差〜
- 何度かコマを見直して、なるほどかうなつてたんだあ〜と(終盤の「處置」)。漫畫を讀むのは難しい。
- 性描寫は特に無し。强ひて言ふなら「握手」程度。流血、缺損、移植がある。
- スペース配置はサーターアンダの近くだつたのに、全く氣附かなかつた。サークルカットをチェックして、辛うじて買へたのがこの漫畫である。COMITIA150では絶對に畫集買ふぞ〜(PERSONAL_LOG_OF_E=2517077の新錄も幾つかあるらしい)。
- 同じ人外×人間でも、サーターアンダ(ギーさん)と比較すると、GYAROさんの作品は暗めでねちよつとしてゐる感じ笑。精神疾患や缺損の描寫もあり讀者を選ぶが、退廢的で倒錯的な世界觀は、密やかな滿足感がある。ハード。
- 表紙はマットPP加工。
- ノンブル無し。28P。
- PERSONAL_LOG_OF_E=2517077 - イ類融合産業 - BOOTH
君と殺されない逃避プロセス
- 形態:漫畫
- 發行日:2023年4月2日(初版)
- 發行サークル:三の月階段(著:吉村さのつき)/スペース配置:あ03b
- AI×開發者。作者によると
夢で見た話をそのまま形にしようと近未来SFになりました
。私は感情を手に入れました
、人工物に感情を持たせることは生命への冒涜… 禁忌とされている
と簡單に描いちやつてるけど、プログラム化された“感情”つて何なんだらう……私はそつちの方が氣になるぞ!笑 何をもつてして「感情」と言ふのかね……? 「感情」を手にした後と前との明確な違ひも知りたいんだよなあ。續篇は18禁なので買はない。
- 私は、敵役のアロガントと彼の作つた「優秀な」プログラムとのやり取りがあつたらなあ、と妄想するタイプなんだ。プログラムが開發者やユーザーに「懷く」といふのは前提みたいなところがあるので(創造の趣旨から言へば當然だ)、何と言ふかかう……もうちよつと「進んだ」場面を見てみたいなと思つてしまふ。敵ロボットとの戀があつても……と妄想を進めるけど、これはさのつきさんの「夢」だからなあ。足りなかつたら自分で書くしかないんだよ笑。
戸籍
つて出て來てるけど、これつて日本獨自の表現だよなあ。系譜、血統、ヒストリー、レコード、「個人記錄」で充分だと思ふが。
- 殘念ながら、人外好き(私)には滿足できない內容。“裸のドストライクイケメン《”より元のちつこいホログラム體の方が刺さるんで……
- 全體としてはすごく高品質な漫畫で、題字や吹出しはSF風になつてゐるし(雰圍氣作りの工夫がある)、話も綺麗に纏まつてゐる。何より作畫が美麗。本屋に竝んでゐても違和感の無い出來。
- さのつきさん自身に話の擴がりがあるところが良く、
いつもナーロッパ系ファンタジー世界が舞台の創作BLを描いている
との事だが、SF(といふか本作の世界觀)にもちやんと關心があり、4コマや後書でストーリーの“後日”を妄想できてゐるのが、見てゐて嬉しくなつた。
- 性描寫(セックスは無く話題に留まる)は露骨。
- 表紙はマットPP加工。題字がSF感滿載でカッチョイイ。
- タイトルがすごく好き。
- ノンブル無し。34P。
- 制約:
無断転載・複製・ネットオークションへの出品はおやめください。
つぼみは咲《う
- 形態:小說
- 發行日:2024年9月23日(初版)
- 發行サークル:muted.(著:篠ノ川せみこ)/スペース配置:う14b
- 人間(サンプル保管機の整備クルー)×人造人間(航行アシスタント)。万物収集艦での一幕。この、作者曰く
かわいい感じの話
に感じたのは、重厚なディストピア感だつた。要するに、ここで描寫される「人造人間《」とは、「生れ」に託《けた奴隸なのである(SFでは驚くべき事ではなからうが)。「……あなたに会わない間、わたしは財団の都合で廃棄されるかもしれない。……もしそうなっても勘づかれないよう、AIにメッセージを返信させるよう設定しますよ」
「それでもいいよ」
——これが總てである。こいつら頭狂つてるのか? と思つたが、惑星ジズレではこれが普通なんだらう。ツガは“ビラヴド”(=人造人間でない人間)との個人的な關係に抵抗があるやうだが、ギフテッドはその身分からして、(性交も含めた)“コンパニオン”を任ぜられるのも特殊な事でないし、公式な任務——「設計」——でなくとも、ビラヴドが「迫」つて成立してゐる關係もそこかしこにある事だらう。ここ、ヒューゴには(ギフテッドとの關係に)抵抗感が無いといふのもポイントで、ビラヴドであるが故の優位性、“無自覺な”特權が作用してゐるのは言ふまでもない。
- 私からすると、ギフテッドが意味するところ、ビラヴドとの關係性は餘りに重過ぎる。これを冷靜な溫度差で書いてしまふのが篠ノ川さんのすごいところだ。
- 私が「奴隸」を擁護するのは「物」「非生物」に對してだけだ。それ以外は皮肉の對象。
- 篠ノ川さんの作品集を見るに、「奴隸」は前提であり、それがキャラクターの「絆」の要である。私も“拘束”された“人間”を書く事はあるが、かうも前向きには書けない。腐つた水で泳ぐ魚は、又腐つてゐるに違ひ無い——それが私の感じ方であり、考へ方だ。そこに築かれた純粹な「幸福」があつたとして、誰が責められようか? しかし、私にその水はカラ過ぎる。
遺伝子操作された人間「ギフテッド」をツールとして使う世界で、
人類が世界を弄び続けている時代である。
描かれ方次第でこんなに“好みでない”感觸になるとは思はなかつた。
- 篠ノ川さんもディストピアである事は重々承知してゐる。だからこそ“人間”を「愛された者《」と名附けたのだ。
- スタートレックのやうに、あらゆる種族と對等に步まうとする姿勢を描く事もできるのに、我々がさうしないのはなぜだらうか? さういつた意味で、本當にスタートレックは進步的で挑戰的な作品だ。理想を地で行く。どれだけの人間が自らに絶望し、血を聯想してしまふかつていふね。
- 冒頭には
大してSF知識のない人間が勢いで書いたため、考証などは気にせず広い心でお読み頂けますと幸いです。
とは書かれてゐるが、讀んでゐて違和感は無いし、艦內外の樣子や獨自の文化はきちんと描寫されてをり、「SF」から聯想する空氣には充分應へてゐる(私自身、SF知識の無い人間ではあるが……)。アクションやサスペンスは無いが、艦を通して政經が薄つすらと見え、ヒューゴの關心(地球の植物)からはノスタルジーを感じる。SF特有の、「何でも手に入る虛しさ」みたいなものもある。あくまで主體は弄んでゐる生命との戀路であり、私がどうかう言ふまでもなく、それは儚くて霧に近い。彼らは突然の別れを承知しながら契りを結ぶが、相手が何であれ、死《は突然に訪れる。私がこの話の終りに感じるのは、諦觀と切なさであらうか。「僞善」といふのは現實世界の倫理に照らした感慨であり、彼らは理窟でないものによつて惹かれ、交はり合つてゐる。彼らの中では、“解決”すべき問題は無いのだ……。だから、「納得」いかなかつたら、私が自分で書くしかない、笑。
- 總括すると、世界觀がハードでダークなのに對して、作風や宣傳、裝丁がすごく明るめなので、その邊の齟齬が辛かつた。(世界の行ひに對して)「報い」が欲しい人間には全く向かない。戀愛は戀愛で、SFならではの展開があつたらもつと面白かつた。さういつた點では物足りない。
- 明確な性描寫はキス止まりで、安心して鑑賞できる。
- 表紙はきらきら。遊び紙もパール感があつてお洒落。題字もかはいらしく、一見するとSFに見えない(宇宙船や惑星のイラストはあるものの)。故に、新刊情報掲示板の
SF世界観、宇宙船内での大型犬っぽい人間(攻)と無愛想な人造人間(受)の穏やかでかわいい恋の芽生えの話です。ハッピーエンド
を當てにしてスペースを訪ねた結果、イメージとギャップがありすぐに新刋と判らなかつた。
- SFで
大型犬っぽい人間
つて、「そのまま」にも解釋できるからなあ。說明や宣傳には氣を附けようと思つた。「人間」と書いてゐても、どう轉ぶか分らないのがSFだ。本作に登場する「人間」は地球人の子孫で、現代人と姿形、能力は變らず、生身で過ごしてゐる模樣。
- 42P。
- 制約:
! 禁!無断転載・アップロード・オークション
- フリーペーパーEyes on youは、ヒューゴ視點のメガネの話。
- 共通の世界觀:彼方遠くの星よりも 設定紹介 | muted.