不自由な出版を拒絶する

關聯:

私がKindle Direct Publishingを解約した理由を述べたい。
一言で言ふならば――私の使命は、自由な出版にあるからだ。私は過ちに氣附いた。故に、緣を切つた。

不自由な出版の例

自由な出版の例

私にとつては、金錢(直接的な對價)が無い事も、自由な出版に必要な事だつた。私は、もつと簡單に、身輕に、日常的、恆久的に萬人がアクセスできる出版をしたかつた。
又、URI(出版物の所在)を保つためのドメインも重要であつた。「リンク切れ(所在の無效化)」は、Webといふ媒體の永遠の課題である。URIやドメインは、後繼者と嚴格な指針が無ければ維持する事ができないが、それでも最善を盡してURIを保たせる事が、出版者パブリッシャーである私の務めと考へてゐる。

皆のために

Common VoiceOpenStreetMapもさうなのだが、公共性が高く、ユーザー自身で作つていくプロジェクトについて、自由に使へるデータセットが無い――これ程に規模が大きくなくとも、コラボレーションにおいて安心して使へる作品が無い――利益を受けるのは多くの人々なのに――のは哀しく、煩はしい事だと感じる。

さうでなくとも、鑑賞と引換へに仔細な個人情報を要求されたり(Webの現狀)、少數の親しい人々と作品を共有するのさへ禁じられたりライセンス料を請求されたり、「公共の資產」といふ立場から考へて、公平とは思へない事が幾つかある。私たちは何のために作品を發表するのだらう? 作品を「所有」する、「權利」を持つてゐる、とはどういふ事だらう?
「所有者」「權利者」の想定を越えた、萬人のためのプロジェクトが澤山ある。

私は、自分一人の利益よりも萬人の利益を嬉しく思ふし、實際、その利益(制約の少ない約束で、プライバシーを保ちながら、作品やサービスを利用できる事)を受けたい/受けてゐる一人なので、不自由な作品/出版より、自由な作品/出版を支持する。